ネパールの連邦下院(定数275名)及び州議会(7州・定数550名)選挙は、昨年11月に山岳部(32郡)、12月に丘陵・平野部(45郡)の2回に分けて実施された。この選挙は2015年に新憲法が制定されてから初の選挙であり、2回の投票率は70%を超え、新たなネパールの統治体制を構築するものとして期待されていた。我が国からは、堀井外務政務官を団長とする10名の選挙監視団が派遣され、概ね平穏に公正かつ自由に行われと評されている。
選挙結果については、連邦下院では、ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派(UML)とネパール共産党マオイスト・センター(MC)がそれぞれ121議席と53議席を獲得し、これまで第一党であったネパール・コングレス(NC)は大敗し、63議席にとどまった。ポウデル元副首相(日ネ議連会長)やマハト元外務大臣等多くのNC有力政治家が落選している。敗北の原因は、左翼連合の選挙協力が功を奏したためとされている。ただ、いずれの政党も単独では過半数に届かなかったことから、政権運営には連立が必要となっている。一方の州議会では、UMLとMCの左翼連合が第2州を除く6つの州で多数派を形成している。
2月には上院議員選挙(定数59名)が予定されており、その後UMLとMCが連立を組み、オリ党首が首相に選出されると観測されている。因みにUML、MCともに共産党を名乗っているが、議会制民主主義と市場経済を標榜しており、ネパールの国内、対外政策に大きな変化はないというのが一般的な見方である。また、インド、中国との関係においてもバランスのとれた政策を実施するものと見られている。