日本ネパール協会通算60周年を迎えて
日本ネパール協会は、日本とネパール両国の相互理解、交流、協力を促進す
ることを目的とする国際交流団体で、2024年に通算60周年を迎えます。
1、 設立の背景と変遷
日本は第2次世界大戦・太平洋戦争後、1951年9月に署名したサンフランシ
スコ平和条約が翌52年4月に発効し、国際社会に復帰しましたが、アジアの
多くの国に日本軍が侵攻していたため反日感情が強く交流は進みませんでし
た。他方ネパールは、隣国等からの侵攻を恐れ長期にわたり鎖国状態であり
、日本も同国には進出しておらず、同国内で戦火を交えることはありません
でした。そして同国が1951年頃開国したことにより、各国登山隊の登山も可
能となり、1953年5月、ニュージーランドのヒラリー卿が現地のテンジン・
シェルパ氏と共に、世界最高峰のエベレスト(標高8,848m)登頂に成功し、ヒ
マラヤ登山熱が広がり、日本隊が1956年5月にマナスル(標高8.163 m)登頂
に成功しました。これらの成功は、戦後多くを失った日本国民に挑戦する勇
気と夢は叶うという期待の力を与え、交流が進みました。そしてこの年の9
月1日、日本とネパールとの外交関係が樹立され、外交関係を含む両国の交
流が広く行われるようになりました。
このような中で、1964年12月、日本ネパール文化協会(通称日ネ協会、会
長日高信六郎)が発足しました。その後1972年6月、名称が日本ネパール協
会に変更されました。この間、1967年にビレンドラ皇太子(1972年1月国王
に即位)が日本に留学、1970年5月日本山岳会隊がエベレストに登頂し、こ
れと共にネパール研究などが進みました。また日ネ関係において、1975年2
月、明仁皇太子同妃両殿下(現在の上皇上皇后)がビレンドラ国王戴冠式に
両陛下の名代として出席し、それを受けて同国王夫妻が訪日(1978年5月)
するなど、両国の皇室と王室の交流も進展しました。
日ネ協会は、1977年10月、外務省所管の「社団法人」に移行し、日ネ交流
も多様化しました。
2、民間団体監督の内閣府への一元化に伴う公益社団法人
2013年4月、内閣府への煩雑な申請・審査を経て「公益社団法人」に認定
され、公益社団法人 日本ネパール協会(代表理事/会長 小嶋光昭)として再
出発することとなりました。翌2014年には通算50周年を迎え記念行事を催し
ました。
活動は公益性のある事業が中心となり、特に2015年4月のネパール大地震
に際しては、国民の皆様より義援金を募り(総額5,500万円程)、在日ネパ
ール大使館他関係団体を通じる支援と共に、現地のJICA日本研修同窓生協会
(JAAN)の協力を得て緊急救済活動を実施すると共に、復旧支援の一環とし
てバクタプールに隣接するチタポル村にあるシュリー・バル・シクシャ・サ
ダン基礎学校(Shree Bal Shiksha Sadan Lower Secondary School)の再建
や、90%以上の家屋が倒壊したレレ村へのトマト栽培を通じる復旧支援など
を行いました。
ネパールの王制が廃止され連邦民主共和国として新憲法が公布され(2015
年9月)、その下で連邦議会選挙(2017年11-12月、2022年11月)が実施さ
れるなど、ネパールが民主的な連邦共和国として歩み始めたことを捉え
、2020年3月に、日ネ協会編集により「現代ネパールを知るための60章」が
出版(2023年に第2刷出版)されました。
日本ネパール協会は、2023年に公益社団法人移行10周年を迎え、2024年
には通算60周年を迎えました。これまで当協会の活動を支えて頂きました維
持会員を含む会員の皆様、そしていろいろな形でご支援頂きました皆様に感
謝申し上げます。
公益社団法人日本ネパール協会
代表理事/会長 小嶋 光昭