【講演会当日にいただいたご質問について、
石田先生から下記のとおり回答がありましたのでご報告します。】
日本ネパール協会セミナー(5月11日)にご参加いただきありがとうございました。セミナーでいただいたご質問のうち、後日回答しますとしていた質問について以下のように回答いたします。
石田洋子
- 就学率等について男女別のデータはないのか
UNESCOのHP(URLはhttps://www.education-inequalities.org/countries/nepal)で以下のデータを見つけました。いずれも2019年の数値です。
・就学前教育への就学率:女子82%、男子84%、全体83%
・基礎教育(1~5年生)就学年齢で非就学児童の割合:女子7%、男子5%、全体6%
・基礎教育修了率:女子81%、男子78%、全体80%
・前期中等教育(6~8年生)修了率:女子74%、男子69%、全体72%
・平均就学年数:女子9.28年、男子9.5年、全体9.37年
・国語(Reading)の成績:女子55%、男子49%、全体53%
・算数の成績:女子45%、男子43%、全体44%
以上、女子の方が、就学率、修了率、成績について若干高い値となっています。
ただ、平均就学年数は男子の方が高いです。
一方、同じUNESCOのデータベースには、ネパールの州別データも載っていたので、以下に、ダヌシャ郡のあるマデシ州の数字をピックアップしました。
・基礎教育就学年齢で非就学児童の割合:マデシ州43%(最下位)、全国6%
・基礎教育修了率:マデシ州63%(最下位)、全国80%
・前期中等教育修了率:マデシ州60%(最下位)、全国72%
成績については、全国の数値しかありませんでした。
- ネパールにおける高等教育(大学)の状況は
上記と同じUNESCOのデータベースによると、ネパールの高等教育就学率は、女子4%、男子3%、全体4%でした。
以下は「現代ネパールを知るための60章」の第32章 高等教育からの抜粋です。
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現在(ネパールには)、10大学、4つの医科大学、さらにこれらの大学の傘下に数百のカレッジが存在する。カトマンズ大学を除く9大学と4医科大学は全て公立大学である。
(中略)
現在、ネパールに多数存在するカレッジは、3タイプに分類される。1つ目は上記の9公立大学のいずれかに所属する連合カレッジで、学費に助成金が出る。2つ目は、民間機関によって運営される私立カレッジで、学費をとる営利機関である。3つ目は個人経営で非営利型のコミュニティ・カレッジである。現在だが国歌謡全学生のうち、連合カレッジに通う学生は34%を占め、私立カレッジは35%、コミュニティ・カレッジは31%を占めている。
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- ダヌシャ郡の小学校における教授言語について
ネパールの友人(NGO勤務)に問い合わせたところ、5年生まではローカル言語での教育を重視していることから、ダヌシャ郡では、5年生までMaithili語とBhojpuri 語で教えているそうです。
- ユニバーサル仕様のトイレはどのように使われているのか
こちらもネパールの友人(NGO勤務)に問い合わせましたが、「ユニバーサル仕様のトイレがある学校は限定的であり、もしそういうトイレがあったとしても、障がいのある子どもがどのように使っているか自分にはわからない」とのことでした。
今回のプランインターナショナルの事業でトイレが整備された後にどのように利用されているかを確認します。
- トイレの掃除はどのように行われているのか
トイレ掃除については、基本、それを生業としている方に委託している状況ですが、詳しいことは現状では不明です。次回、ネパールに入った時に確認してみます。
- 男子がなりたい職業は何か
女子は、地域内の近隣の学校に行くことが多く、身近な存在として教員があり、なりたい職業として教員を上げることが多いとのこと。
男子で、都市部にある私立のボーディングスクールの生徒である場合は、エンジニアとか医者を希望する者も多いとのこと。ただ、公立の地域の学校に通う男子は、中近東などに出稼ぎに行くことを希望する者が多いとのことでした。
足りない部分もあるとは思いますが、以上です。
よろしくお願いします。