2021/10/04(月)

最近のネパール政治情勢(2021年9月)

最近のネパール政治情勢(2021年9月)

 

2020年12月20日にオリ首相(ネパール共産党)が連邦議会を解散して以来、混迷を続けていたネパールにおいて、2021年7月17日、中道保守のコングレス党ドウーバ党首がオリ首相に代え首相に任命された。オリ首相の昨年の議会解散については、与党ネパール共産党内の毛沢東派が違憲とし、市民団体が最高裁に提訴していたが、最高裁は議会の再開を求めていた。5月に議会が再開され、オリ首相が信任を求めたが、同首相が率いる共産党UML派は最大政党であったものの、分裂した旧マオイスト派他が反対に回ったため過半数を確保出来ず、否決された。

これを受けてバンダリ大統領は、諸政党に対し2つ以上の政党による新政府樹立を申し出るよう求めた。6月14日の議会においてオリ首相が再度信任を求めたが、コングレス党他が反対し、これに旧マオイスト派が反対に加わったため、再度否決された。コングレス党ドウーバ党首は、共産党毛沢東派他と連立し議会での多数を確保したことから、最高裁に新政権の承認を求めていたところ、最高裁は7月17日これを認め、バンダリ大統領はコングレス党ドウーバ党首を首相に任命した。

連邦議会議員の任期は2022年11月までとなっており、それまでに連邦選挙が行われることになるが、連立政権を維持しつつ、微妙な政権運営が求められる。

ドウーバ政権の閣僚については、9月末までに内務、法務・議会、エネルギー・水資源、財務の4大臣、および保健・人口担当国務相に加え、ナラヤン・カドカ外務大臣が任命(9月27日) された。カドカ外相は任命後直ちに国連総会に出席した。

ドウーバ首相は、これまで4回首相を務めているコングレス党のベテラン議員で、オリ政権が中国と緊密な関係にあったが、同首相は欧米との関係も重視し、親日的である。(M.K.)